IMACELの支援事例
Support Case#03
病理標本解析での画像解析AI活用 ~正常/異常のスクリーニングやバーチャル染色~
課題
安全性評価のうち病理学的検査では顕微鏡観察による目視評価検査が行われますが、全標本をくまなく鏡検し病変の評価を行うため、多大な時間と労力を要します。また、創薬モダリティーの多様化によりこれまで経験してこなかった病変に遭遇する機会が増えており、既知病変を教師データとして学習させたAIモデルだけでは、実運用に制限がかかることが懸念されます。さらに、標本作成の過程で生じるアーティファクトや施設間差の影響も考慮する必要があります。
エルピクセルのAI技術概要と期待される効果
病理標本のスクリーニングへのAI活用
当社では様々なバリエーションを持つ腎臓の正常組織を教師データとして学習させ、正常からの逸脱を検出するAIモデルを構築しました。弱拡大でわかる尿細管の異常を検出するモデル(組織全体構造の乱れを捉える)と糸球体の異常を検出するモデル(ミクロな異常を検出する)を組み合わせ、AIによる標本の正常・異常判定を行います。特定の病変検出ではなく正常からの逸脱度で正常/異常の判定を行うため、未知病変への対応が期待されます。 尿細管病変に加え糸球体病変の異常を検出するとともに、正常組織からの逸脱度合いの可視化を実現しました。


バーチャル染色
未染色画像からAIで染色画像を生成することで、染色における施設間差を排除し、均質なAI・画像解析を実現します。また遺伝子解析を実施する標本において、劣化していない組織標本を用いたHE染色など他染色の実施が可能となります。 例えばHE染色画像から免疫染色画像を生成することで、大量に取得済みのHE染色画像から特定の生体機序を解析し、実際の免疫染色前の”あたり”をつけることも可能となります。

第41回日本毒性病理学会学術集会「Artificial intelligenceを用いたラット腎臓における糸球体および尿細管の病理組織学的病変の安全性評価」(第一三共株式会社との共同発表・2025年)

第41回日本毒性病理学会学術集会「Artificial intelligenceを用いたラット腎臓における糸球体および尿細管の病理組織学的病変の安全性評価」(第一三共株式会社との共同発表・2025年)
Support Case#01
Phenotypic Screening
~細胞形態解析による新規候補化合物の探索~
Support Case#02
蛍光多重免疫染色画像解析の自動化
~抗がん剤開発研究やがん微小環境における空間解析への応用~
Support Case#03
病理標本解析での画像解析AI活用
~正常/異常のスクリーニングやバーチャル染色~
Support Case#04
ライトシート顕微鏡画像解析の自動化
~脳領域自動セグメンテーションおよび血管周辺環境の解析効率化~
Support Case#05
AIを活用した新たな動物行動解析
~従来評価を超える特徴発見や精緻な定量評価~
Support Case#06
小核試験の自動判定
~自動解析サービスとして提供中~
Support Case#07
染色体異常検出の自動化
~放射線事故後の線量評価や遺伝毒性試験への応用~
Support Case#08
凍結乾燥工程における氷晶解析
~AIを活用した製造工程最適化検討~
Support Case#09
ラボオートメーション支援
~自動中量合成実験装置への画像解析AI搭載~